メルクリン


メルクリン(ドイツの鉄道模型)の思い出


メルクリンとドイツ連邦鉄道と四畳半

メルクリンが何故か我が家の鉄道模型でした。メルクリンはドイツの老舗鉄道模型で、貧乏なのにハイカラ好きな父が、買ってきた鉄道模型が、なぜか安価な国産のではなく、ドイツ製のメルクリンだったのです。当時、鉄道模型といえばカトーやトミーの国産Nゲージのことで、国鉄車輛でした。我が家ではなぜか、メルクリンのHOで、四畳半のタタミみの部屋でドイツ連邦鉄道の機関車が走ることになったのです。

メルクリンはヨーロッパでは、代表的なメーカで、鉄道模型を始めて作ったメーカーとも言われています。筆者が子供のころ(30年くらい前)の話しですので、今とはだいぶ状況が違うと思います。何しろまだ西ドイツでした。メルクリンのラインナップにはドイツ連邦鉄道、スイス国鉄をはじめオランダ、ベルギーの車輛が主でした。当時のドイツ連邦鉄道の詳細などは、当然知るすべもなかったのですが、動力車の半分は蒸気機関車で、国鉄と違ったのは、「電車」が無いことでした。東京近郊に住んでいたので、当時、私にとて鉄道と言えば電車だったのですが、メルクリンは蒸気機関車かディーゼル機関車か電気機関車で、無動力の機関車と客車という仕組みが、子供心になかなか理解できなかったものです。

メルクリンの鉄道模型はHOゲージのラインナップが主力で、日本ではNゲージがスタンダードだったと思いますが、メルクリンをはじめヨーロッパではHOゲージが主流だったようです。ただメルクリンは、当時としては世界最小の鉄道模型のZゲージを開発し、どちらかというとメルクリン=超ミニチュアの世界最小の鉄道模型というイメージが強かったと思います。

メルクリン

メルクリンの交流方式

メルクリンは王様の玩具と呼ばれるくらい何しろ高価で、当時の為替レートからしても、とても高かったはずです。我が家には、基本セットがふたつ、兄と私のぶんがありましたが、それ以上、買い足して発展することはありませんでした。確かNゲージの線路が一本数十円単位だったと記憶していましたが、メルクリンの場合、線路一本でも数百円だったと思います。兄弟の基本セットの線路を繋げて8の字が描けるように、何本か線路を買い足すので兄弟の小遣いでは精一杯でした。

メルクリンHOの最大の特徴は、「交流3線式」です。線路は、今思えば数百円するのも当たり前なほど複雑な構造をしていました。電源を取るための突起がが枕木の中央にあって、動力車のお腹にはパンタグラフのようなものがあって、その突起から電気を取るのです。線路は2本とも同じ極になっています。このことを理解するのに、幼い私はたいへん苦労したのを覚えています。直流のNゲージは、線路の極性があったので、ポイントとかで整流器や絶縁区間が必要でしたが、その点交流3線式は、何も考えずに線路を繋げていけるという特徴だったのでしょう。それから、我が家にはありませんでしたが、メルクリンで電化区間のシステムを使う場合は、ダミーではなく実際に架線から電気機関車のパンタグラフを通して電気を得られるようになっていました。前進む後進の切り替えは、コントローラをマイナス方向にビーとやると切り替わる独特なもので、交流ならではでした。

メルクリンで夢見たドイツ連邦鉄道

当時メルクリンの線路にはMトラックとKトラックというのがありました。Mトラックは、線路の下のバラスの部分まで一体化していましたが、Kトラックは線路と枕木だけです。Mトラックはダイキャストでできていましたが、Kトラックはより高級で、枕木は樹脂性で木の柄も細かく描かれているリアルなものでした。Kトラックはレイアウトを作る用だったようです。

私の小学校の同級生にもメルクリン・ユーザーがいることが解り遊びに行ったことがあります。というか、その子の父親のものだったのですが、かなり大きい◯が描けるくらい大量の線路がありました。しかも高級なKトラックで・・動力車も私が憧れていたドイツ連邦鉄道の電気機関車や、大型の蒸気機関車もあって、さすがに大人の持ち物は違うなと思いました。近所では我が家の他にもう一件だけその家がメルクリンユーザーでしたので、その子とは、いつか線路を持ち寄って、もっと大きなレイアウトにしよう!と盛り上がっていたのですが、そのためにはMトラックとKトラックをジョイントする線路を入手しなければならず、実現しないまま、鉄道模型で遊ばない年頃になってしまいました。

メルクリンのHOは、ダイキャスト製法で出来ているものが多く、台車部分はほとんどそうでしたし、ボディも樹脂ではなく金属(鉄?)のものが多かったように記憶していました。で、よく、サビました。日本の気候には合わないなぁと子供心に思いました。確かにプラスチックのNゲージなどとくらべると、鉄製のボディははるかに重厚でリアルでしたが、さびるとは・・・子供心に、メルクリンの鉄道模型は、高いのにどうして扱いにくいのか疑問に思いつつ、非日常的でない外国製品の質感や美しさが印象的でした。

メルクリンは、また、カタログが美しかったと記憶しています。実物を見たこともないヨーロッパの蒸気機関車や客車のモデルやジオラマの写真が掲載されたメルクリンのカタログを、よく飽きずに眺めていたものです。ドイツやスイスやベルギーなどという外国に、大人になったら言って、こんな鉄道の旅をするんだ・・・その夢は未だ果たせませんが・・・

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